Reviews
「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
この物語の
を、あなたと感じたい─-
「Fate/Zero」─残酷な騎士道と正義─ 感想と考察
聖杯戦争のことしか頭にないような人間ばかりの身内の争いのようでもあったFate/stay nightとは違って、Fate/Zeroは時計塔からの参戦者もいることで魔術師の世界の広大さを窺い知れたり、また現代兵器を用いた戦闘といった表の世界と裏の魔術の世界の交わりや、過去の英霊が現代世界に融け込むよう…
©Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC「Fate/stay night Heaven's Feel」─正義と悪は誰にあるのか─ 感想と考察
善悪の所在 衛宮士郎は結果もたらされるものを以てして悪と判定するが、言峰綺礼は悪であれ元は善にも悪にも染まっておらず、悪でなれば周囲の環境にそうさせた責があると言う。人々が正しくありたいと悪を自らから排除して押し付けた産物であるアンリマユのことを考えると、この世全ての悪を背負った神は正しくありたいと…
©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC「聲の形」─他者理解の意味─ 感想と考察
他者理解 小学生だった将也たちには最初から悪意があったわけではないと思う。コミュニケーションが円滑に取れない人間にどうしたらいいのか、そもそも聴覚障害が何なのか小学生にはよく分からないだろうし、戸惑いしかないのだろうと思う。 聴覚障害のある人が自分の身近にいたことがないから分からないけれど、たぶん外…
「イエスタデイをうたって」感想と考察
愛とはなんぞや? 陸生と榀子と晴と浪の関係がぐるぐるした結果、陸生と榀子はくっついたけれどお互いの愛は思い込みだったとまた離れたけれど、過去の陸生の愛は思い込みではない本物だったと思う。 だけど、大学を卒業して時を経るうちに榀子が好きな自分という設定が陸生の中で先行していたのだと思う。それが陸生が心…
©冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会「天気の子」─映し出されるのは現実逃避の蜃気楼─ 感想と考察
二つの顔を持つ東京 この物語の東京には二つの顔があったように思う。 一つは、陽菜の家を揺らす程に電車が至る所に張り巡らされ、また目先の利益に喰らいついて人も街並みも息苦しく、薄汚れ、様々な社会問題に溢れた大都市。 もう一つは、陽菜や須賀圭介のような無機質な都会でも帆高にあたたかい心で接してくれる人や…
「ヴァイエヴァ外伝」─幸せを届ける手紙─ 感想と考察
幸せを届ける手紙 エイミーはある捨て子を拾いテイラーと名付け、自分の貧しく惨めな生活への当てつけにと彼女を幸せにすることを誓ったが自分も所詮子供なエイミーには幸せの実現は不可能のように思えた。しかし、ある日エイミーの父親を名乗る男が現れてテイラーの保護と引き換えにエイミーを引き取り来て、エイミーにそ…
「コードギアス反逆のルルーシュ」感想と考察
憎しみと裏腹の平和 皇帝シャルルは過去の優しい世界を取り戻そうとした。 シュナイゼルは今の恐怖で維持される平和を留めようとした。 そして、ルルーシュは未来の理想の平和を求めた。 それぞれがそれぞれの信じる平和を求めていたし、やり方に正しさや誤りはあったとしてもその信念は正しかった。 世界は悪を演じて…
©SUNRISE/PROJECT GEASS・MBS「やがて君になる」漫画 感想と考察
好きって… 好きを知らない侑は確かにはじめは燈子からの「好き」に応えるための好きを知らない様子であったが、次第に燈子から愛される中で燈子への「好き」を抱き始めた。しかし、それは理想像である姉を演じて本当の自分を剥離させ自分は空っぽで嫌いと言う燈子に対して「好き」は伝えられず、許されない…
©仲谷 鳰/KADOKAWA「青ブタ ランドセルガールの夢を見ない」原作ラノベ 感想と考察
大人になるための最後のピース 梓川咲太は二年間、母と離れ離れになっている間に彼が傷ついた妹の親代わりとして日常を過ごし、徐々にその空白の日常が満たされていくうちに「家族」を忘れてしまった。 そして、思春期症候群を通して彼はいつの間にか失ってしまったそのピースに気づいた。 空白の二年間が当たり前は当た…
「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」原作ラノベ 感想と考察
みんなって、普通って、 楓が「かえで」から完全に脱皮して、楓の道を自分で選び取っていくお話。 楓が全日制の高校に合格できたけど蹴って通信制で今の楓が行きたいところを探すって言ったところで「えっ…」とちょっと思ってしまった自分に浅さのようなものを感じた。だけど、楓が心から行きたいと思えて…