Reviews
「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
この物語の
を、あなたと感じたい─-
「PSYCHO-PASS PROVIDENCE」─神を殺した常守朱、その涙の意味─ 感想と考察
シビュラシステムによって、法律は不要になるだろうか?それが今回の問いであり、議題だった。 神の視座から愚かな人間たちに絶対的な裁定を下すAI、それがシビュラシステム。究極の客観性を携えたその支配システムは、私たちに汚れた人間の主観を一切排した答えをもたらしてくれる。その真実に疑いの余地はない。しかし…
©サイコパス製作委員会「PSYCHO-PASS 3期」─たった一つの正義ではない、善悪の価値の意味─ 感想と考察
第4話 コロッセオの政争 認知不可、脳が楽をしたい悩みたくないという休みたがることを指すその言葉。 その脳の、人の思考の働きを利用して、外部から大衆の心理をコントロールしようとするのが小宮カリナの裏に潜む正体・AIのマカリナだった。そのAIが人間を誘導することで、人間に思考を放棄させることを促し、選…
©サイコパス製作委員会「お兄ちゃんはおしまい!」─まひろと学んだ12のことと、1人のらしい自分─ 感想と考察
第1話 まひろとイケないカラダ 始まったのは超高品質な映像で描かれるポルノアニメ。 まひろの手足の華奢さとイカッ腹具合が絶妙に犯罪的。そして、絶妙に大事なとこを隠すレイアウトや戸惑いでおろおろキョドキョドするまひろの仕草や動き。それはもうフェティッシュな描写がイケナイほどに引き立てていた。 その一方…
©ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会「涼宮ハルヒの消失」─長門とキョンが示した愉快な日常セカイ─ 感想と考察
長門とキョンが教えてくれたのは、何の変哲もないこの日常こそが、一瞬一瞬を噛みしめなければいけない非日常なんだということだったように思う。 非日常な日常は日常だけど非日常 クリスマスを目前としたキョンの日常は、今日も非日常だった。ハルヒがクリスマスパーティーをSOS団部室で行う!と宣言して、団員たちは…
©2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団「グリッドマン ユニバース」─重なる世界が見せた真実とメタフィクション─ 感想と考察
この物語はすべての妄想への賛歌なんだと思う。 子どもっぽくて、夢想的で、ロマンチックで、非現実的なメタフィクション。 GRIDMANで人と繋がることを知り、DYNAZENONで自分を貫くことを知った僕たち人間は、今度は夢見ることを知る。 「グリッドマン物語」 それは霧のように消えてしまったあの2か月…
©円谷プロ ©2023 TRIGGER・雨宮哲/「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会「SSSS.DYNAZENON」─不完全な僕たちの生き方ってなに?─ 感想と考察
どこか猜疑心に満ちた物語だったように思う。夢芽の姉に対する憶測、怪獣優生思想の一味との関わり、そしてこの物語の行く末というものの見えなさ。 自分の内側を裸にする でも、そういう疑いをはっきりと口にすることが、もやもやとした霧を払う答えだということを彼らは提示した。そうやって本音を出し合うことで一つに…
©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会「SSSS.GRIDMAN」─甘くて不安定なアカネの世界の意味─ 感想と考察
不安定・青春エッセンス 新条アカネの心という狭いセカイの中で、彼女自身の存在がいっぱいいっぱいに肥大化していた。彼女の怒りやストレス、ナイーブさや未熟さ、自己中心さやわがままさといった自己と世界が分離できてないセカイの捉え方を、愛おしさたっぷりに言えば青春と呼び、はっきり言えば幼さとか子どもっぽさと…
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会「ブルージャイアント」─存在が光るから、その音色に惹かれる─ 感想と考察
ジャズの音色とジャズにかける思い。そんな具体的な形を持たないものが、はっきりと目に見える程の爆発を描き出す。そんな物語がこのアニメだった。 信念と存在が宿るサックス 貫く自分の思いと信念、そして光る存在感と人を虜にする魅力。解き放たれる覇気や気力、生命力といった強さ。それこそが宮本大のサックスが奏で…
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会「さよならの朝に約束の花をかざろう」─愛に導かれるマキアの人生─ 感想と考察
「愛」とは 愛には二つの種類があると思う。一つは純粋な真っ直ぐな愛、もう一つは嫉妬のような拗れた愛。 これは、そんな愛を確かめるための物語。 愛を紡ぐ一族 時間という経糸と人の生業という緯糸からヒビオルを織るイオルフ。彼らは別れの一族と呼ばれる。長命の彼らが一族の村を飛び出してしまえば、そこにはたく…
©PROJECT MAQUIA「プリンセス・プリンシパルCH 3章」─王女様の優しき信念は砕け散る─ 感想と考察
プリンセスは決断を迫られる。ノルマンディー公に付くのか、アーカム公・リチャードに付くのか。王室内の苛烈なダイナミクスを前にしても、彼女は己の優しき正義と責任感のために道を選びきれなかった。 問われているのは、プリンセスが実際的にどう立ち振る舞うか以上に、優しいだけじゃない強さを貫けるかということのよ…