Reviews
「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
この物語の
を、あなたと感じたい─-
「パーフェクトブルー」─未麻の正体とは、失われたアイデンティティ─ 感想と考察
自分が何なのかというお話 結論から言うと、この『パーフェクトブルー』という作品は、アイドルから女優へと転身した未麻のアイデンティティを描いた物語だったように私は思う。 私はどんな私?どんな姿の私? 物語は前述のように、アイドル・みまりんが女優へとキャリアを乗り換えるところから始まる。しかし、それをフ…
©1997MADHOUSE「アリスとテレスのまぼろし工場」─心と願いと現実の三角関係─ 感想と考察
心の弱さの逃げ場がまぼろしであり、ムラ社会であって この物語の舞台となる見伏市、そこは所謂「ムラ」だった。製鉄工場の事故をきっかけに外へ出る手段を失い、閉鎖感と停滞感だけで満たされた世界。そんな街の異常は神なる山を削った罰であり、変わらない世界と同じように人々は自分たちもまた変わってはいけないという…
© 新見伏製鐵保存会「響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト」─優しいだけじゃない大前新部長─ 感想と考察
新部長・大前久美子 ユニットごとのオーディションで挑むアンサンブルコンテスト。初手で麗奈は「なぁなぁで済ませるのはキラい」と言い切っていた。 一方で、久美子は部長として部内のバランスを取るためにも、どこかふわふわと優柔不断そうな姿にも見えるようだった。 もちろん、久美子にもその自覚はあって、かつての…
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会「ウマ娘 ROAD TO THE TOP」─その3人は、何のために走るのか─ 感想と考察
第1話「夢のはじまり」 皐月賞を目指すウマ娘たち。暗雲たちこめる雨の中山は、ナリタトップロードとアドマイヤベガの二人の決戦の様相を呈したレース。 そんな中で、ナリタトップロードがブロックされる展開も交わし、4コーナーで一気に突き抜けた瞬間は、持ち前のひたむきさでこの皐月賞のために練習に練習を重ねた日…
© Cygames, Inc.「転生王女と天才令嬢の魔法革命」─認められないのは、彼女が好きだから─ 全話感想と考察
第1話「王女と令嬢の魔法革命」 魔法で空を飛びたいアニス。きっとその魔法への憧れは、王族なのに魔法が使えないからというだけではなく、彼女に眠る前世の記憶に基づいた魔法へのロマンの眼差しなのだと思う。 そして、疎まれ追放されて、頂点から蹴落とされた令嬢のユフィリア。その生真面目さ故に見放され、陥れられ…
©2023 鴉ぴえろ・きさらぎゆり/KADOKAWA/転天製作委員会「BIRDIE WING バディゴル」─運命が導く、イヴと葵の約束の意味─ 感想と考察
運命に振り回され続けるイヴと葵だけど、それでもお互いを求め合って、また同じグリーンに立つ。そこに懸ける二人の特別な想いには、時に哀しみ、時に高ぶりのままに感情を翻弄させられてしまった。 そして、そこには馬鹿げた超次元ゴルフも、トンチキなお家騒動やマフィアの抗争もなく、ただ一筋のラインを描く運命があっ…
©BNP/BIRDIE WING Golf Club「君は放課後インソムニア」─眠れない、フツーになれない二人の満たされていく青春─ 感想と考察
第1話 能登星 眠れなくて退屈で憂鬱な夜を楽しくしてくれる。それが中見にとっての曲だった。 中見と曲は不眠症という悩みで繋がって、天文室や夜の町と二人だけの世界へ飛び込んでいく。その中で、中見は寝なきゃいけない夜を楽しんでも良いと知っていく。それはきっと、曲に寄り添うことで、抑圧的な世界の中で、少し…
©オジロマコト・小学館/アニメ「君ソム」製作委員会「アイマス U149」─子どもと大人、夢と現実の架け橋─ 感想と考察
ちっちゃな胸には、おっきな夢 「小さくたって、アイドル!」と銘打たれたように、U149の彼女たちはまだまだ小さな子ども。だけど、そのちっちゃな胸に育むのは大人顔負けのおっきい夢なのだ。 だからこそ、彼女たちは成長期真っ盛りの不釣り合いな身体と心のバランスの上にあり、それは彼女たちに現実と夢の狭間にお…
©Bandai Namco Entertainment Inc. / PROJECT U149「ワールドダイスター」─ここなと静香の絆、その裏側に見える意味─感想と考察
ワールドダイスターの物語 この『ワールドダイスター』は、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」や「かげきしょうじょ!!」と同じように、舞台演劇に熱を注ぐ少女たちの物語である。 だが、『ワールドダイスター』は「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のほどに高度なファンタジーや抽象的な世界観ではなく、かといっ…
©Sirius/Project WDS「推しの子」─嘘と真実が炙り出す、ヒトの本性─ 感想と考察
6話『エゴサーチ』:見える虚像と見えない実像 バカが付くほど正直で真面目でまっすぐな黒川あかねに、恋愛リアリティショーというホントでウソなエンターテインメントは決定的に水と油なのかもしれない。丸っきりの虚構の役を演じるのでもなく、嘘が入ったり入らなかったりしつつも演じるのは自分そのものという曖昧さ微…