映画・劇場版
人生で大切なことは、いつも
が教えてくれた─-
「秒速5センチメートル」─刹那的で一度きりの甘い夢─ 感想と考察
認めたくない後味 見終わった直後、呆然あるいはショックを受けてる。二人はまた出会えるんじゃないかって思ってた。 でも、この感情こそが答えなのだと思う。人生は複雑で大きすぎて、その中でただ波のままに揺られて、流されることしかできない。いくらあの島へと願ったところで、海はそんなもの意に介せずに僕を運んで…
©Makoto Shinkai / CoMix Wave Films「君の名は」─運命を紡ぐ結び《ムスビ》の意味─ 感想と考察
二人の運命 誰と繋がっているのか、どこと繋がっているのか、本当は夢や幻なんかじゃないかと思ってしまうくらいに覚束ない記憶。だけど、確かに繋がっていることを感じさせる「結び」がある。 ある日、三葉と瀧は遠く離れた世界を越えて、出会った。あり得ないほど遠い遠い世界を跨いで、溶け合うように交じ合った。 2…
©2016「君の名は。」製作委員会「夏へのトンネル、さよならの出口」─二人だけの未来─ 感想と考察
外と中で異なる時間の進み方をするウラシマトンネル。 これは過去に囚われた花城と塔野を永遠にその過去に閉じ込めるもののように見えていた。だけど、二人を結びつけもしたこのトンネルは、それぞれの捨てきれなかった過去と向き合わせ、そして未来へと送り出すための存在だったのかもしれない。 そして、その未来はただ…
Ⓒ2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会「雨を告げる漂流団地」─朽ちかけの思い出に焦がれる─ 感想と考察
団地というのはまさに文字通り、みんなが一緒に寄り添い合って共にある場所。 だけど、いつかは時の流れの中で朽ちていく。 航佑と夏芽がかつて一緒に暮らした団地もまたそんな風に過去の遺物となって取り壊されることになっていた。そんな団地に満ちていた古い部屋独特の落ち着く空気が、捨てられない思い出を抱えた夏芽…
©コロリド・ツインエンジンパートナーズ「夏へのトンネル、さよならの出口」─過去を振り切って、未来へ届けて─ 感想と考察
自己承認の行き違い。否定された自分を他人の承認で埋めようとするか、自己否定で誤魔化そうとするか。返らない過去で立ち止まるのか、傷つきながら未来へ進み続けるのか。そんなアイデンティティを探るような青春の恋の一遍。 失ったもの、欠けているもの 妹を失った少年・塔野カオルと、祖父を失った少女・花城あんず …
「ペンギン・ハイウェイ」─少年が大人になる夏─ 感想と考察
お姉さんがいた。 そのお姉さんは少年にとっての憧れ。だけど、お姉さんは大人で、少年は子ども。 だけど、愛の力はそんな壁なんてものともしない。少年は精いっぱい背伸びする。賢くなってえらくなる。それが「大人」だから。 そんな風に少年が必死に健気にお姉さんを追いかけて、できる限りの背伸びをしてお姉さんに見…
「ディアルガVSパルキアVSダークライ」─その暗黒に秘められた想い─ 感想と考察
自分の居場所がなかったダークライにアリシアがここにいて良いんだよって言ってくれた。きっとダークライにとってはそれが初めて触れた優しさだった。そして、それ以来ダークライはアラモスタウンの庭園にひっそり住み着くようになって───── そして数十年後、神々の争いの狭間で街やアリシアの孫でよく似たアリスが巻…
「水の都の護神 ラティアスとラティオス」─この水の都と生きていく─ 感想と考察
人の姿に化けてサトシと遊びたがるラティアスが本当に人懐っこくて、どこまでも愛おしい。彼女に感じるこの気持ちは、人に対する愛と同じかそれ以上のものだと言い張れる。 人と水が共に生きる街 「こころのしずく」から湧き出す水に揺蕩われた水の都・アルトマーレ、この街をかつて危機から護ったという伝説と共に語り継…
「犬王」─魂の叫びは、友有の存在証明─ 感想と考察
今は昔、奪われて失われた者たちの物語 犬王と友有は無念のうちに終えた平家の物語を歌うことで、彼らの存在を再び世に示し成仏させていった。 そして、足利義満によって亡き者にされた友有と自らを封じざるを得なかった犬王。この歴史の上からその存在をかき消され、忘れ去られてしまった2人が確かに存在し一世を風靡し…
「劇場版 輪るピングドラム 後編」─本当の自分は関係性の中にいる─ 感想と考察
この世は求められるか、求められないか 彼らの目には自分は世界から必要とされていないように映っていた。それはすなわち社会的認知死んだも同じ。だから、ふと自分を求めてくれる人が現れると、彼らの内面世界はただその一人へと収束していく。自分すら呪った自分を愛してくれる。だから、自分を見つけてくれたその人のた…