映画・劇場版
人生で大切なことは、いつも
が教えてくれた─-
「放課後アングラーライフ」─波風立つから、青春の風は吹く─ 感想と考察
青春の大波小波 笑顔はそこそこ、放課後はすぐ帰る、友だちは作らない。引越し先の海辺の街で今度こそは失敗していじめられることのないようにと自らに誓う。そんな女の子がめざしだった。 だけど、彼女はアングラー女子会なるものに誘い込まれ、海釣りを始めることになってしまった。めざしの頭の中を巡るのは、今度こそ…
© 2023 「放課後アングラーライフ」製作委員会「百日紅〜Miss HOKUSAI〜」─見えざる世界こそ、人の世なり─ 感想と考察
江戸に生きる葛飾北斎とその娘・お栄たち絵師の姿を通じて描かれた物語には、「見えざるものを見る、感じ取る」という迷信のような価値観が映し出されていた。 江戸に潜む、見えざる世界 その「見えざるものを見る」というのは、浮世絵師として必要な素養であることもちろん、目の見えないお猶が触れて嗅いで聞いくことで…
©2014-2015 杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」─暗く黒い過去に見出す白光─ 感想と考察
この世で最も黒い絵に始まったこの物語が暴いたのは、巻き込まれた人物たちの黒く暗い過去。そして、仁左衛門と奈々瀬の暗く悲しい悲劇だった。 だがしかし、そんな救いのないような話であっただろうか?その余韻には確かな光があったように思う。 たとえば、亡き父を姿をルーブルに見つけ、そこに自らを重ねた編集の泉が…
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社「PSYCHO-PASS PROVIDENCE」─神を殺した常守朱、その涙の意味─ 感想と考察
シビュラシステムによって、法律は不要になるだろうか?それが今回の問いであり、議題だった。 神の視座から愚かな人間たちに絶対的な裁定を下すAI、それがシビュラシステム。究極の客観性を携えたその支配システムは、私たちに汚れた人間の主観を一切排した答えをもたらしてくれる。その真実に疑いの余地はない。しかし…
©サイコパス製作委員会「PSYCHO-PASS 3期」─たった一つの正義ではない、善悪の価値の意味─ 感想と考察
第4話 コロッセオの政争 認知不可、脳が楽をしたい悩みたくないという休みたがることを指すその言葉。 その脳の、人の思考の働きを利用して、外部から大衆の心理をコントロールしようとするのが小宮カリナの裏に潜む正体・AIのマカリナだった。そのAIが人間を誘導することで、人間に思考を放棄させることを促し、選…
©サイコパス製作委員会「涼宮ハルヒの消失」─長門とキョンが示した愉快な日常セカイ─ 感想と考察
長門とキョンが教えてくれたのは、何の変哲もないこの日常こそが、一瞬一瞬を噛みしめなければいけない非日常なんだということだったように思う。 非日常な日常は日常だけど非日常 クリスマスを目前としたキョンの日常は、今日も非日常だった。ハルヒがクリスマスパーティーをSOS団部室で行う!と宣言して、団員たちは…
©2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団「グリッドマン ユニバース」─重なる世界が見せた真実とメタフィクション─ 感想と考察
この物語はすべての妄想への賛歌なんだと思う。 子どもっぽくて、夢想的で、ロマンチックで、非現実的なメタフィクション。 GRIDMANで人と繋がることを知り、DYNAZENONで自分を貫くことを知った僕たち人間は、今度は夢見ることを知る。 「グリッドマン物語」 それは霧のように消えてしまったあの2か月…
©円谷プロ ©2023 TRIGGER・雨宮哲/「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会「ブルージャイアント」─存在が光るから、その音色に惹かれる─ 感想と考察
ジャズの音色とジャズにかける思い。そんな具体的な形を持たないものが、はっきりと目に見える程の爆発を描き出す。そんな物語がこのアニメだった。 信念と存在が宿るサックス 貫く自分の思いと信念、そして光る存在感と人を虜にする魅力。解き放たれる覇気や気力、生命力といった強さ。それこそが宮本大のサックスが奏で…
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会「さよならの朝に約束の花をかざろう」─愛に導かれるマキアの人生─ 感想と考察
「愛」とは 愛には二つの種類があると思う。一つは純粋な真っ直ぐな愛、もう一つは嫉妬のような拗れた愛。 これは、そんな愛を確かめるための物語。 愛を紡ぐ一族 時間という経糸と人の生業という緯糸からヒビオルを織るイオルフ。彼らは別れの一族と呼ばれる。長命の彼らが一族の村を飛び出してしまえば、そこにはたく…
©PROJECT MAQUIA「プリンセス・プリンシパルCH 3章」─王女様の優しき信念は砕け散る─ 感想と考察
プリンセスは決断を迫られる。ノルマンディー公に付くのか、アーカム公・リチャードに付くのか。王室内の苛烈なダイナミクスを前にしても、彼女は己の優しき正義と責任感のために道を選びきれなかった。 問われているのは、プリンセスが実際的にどう立ち振る舞うか以上に、優しいだけじゃない強さを貫けるかということのよ…