映画・劇場版
人生で大切なことは、いつも
が教えてくれた─-
「アリスとテレスのまぼろし工場」─心と願いと現実の三角関係─ 感想と考察
心の弱さの逃げ場がまぼろしであり、ムラ社会であって この物語の舞台となる見伏市、そこは所謂「ムラ」だった。製鉄工場の事故をきっかけに外へ出る手段を失い、閉鎖感と停滞感だけで満たされた世界。そんな街の異常は神なる山を削った罰であり、変わらない世界と同じように人々は自分たちもまた変わってはいけないという…
© 新見伏製鐵保存会「響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト」─優しいだけじゃない大前新部長─ 感想と考察
新部長・大前久美子 ユニットごとのオーディションで挑むアンサンブルコンテスト。初手で麗奈は「なぁなぁで済ませるのはキラい」と言い切っていた。 一方で、久美子は部長として部内のバランスを取るためにも、どこかふわふわと優柔不断そうな姿にも見えるようだった。 もちろん、久美子にもその自覚はあって、かつての…
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会「青ブタ おでかけシスター」─かえでの本当の願い、なりたかった自分─ 感想と考察
「かえで」になりたい花楓 進路選択、花楓が希望したのはお兄ちゃんと同じ高校。その根底にあったのは、みんなと同じが良いという思い。それともう一つ、「かえで」の残した願いを叶えたいという思いだった。 はっきりと言葉にはしないものの、「舞先輩、舞先輩」と言ってばかりの咲太に不機嫌な嫉妬心を覗かせたり、バイ…
©2022 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project「放課後アングラーライフ」─波風立つから、青春の風は吹く─ 感想と考察
青春の大波小波 笑顔はそこそこ、放課後はすぐ帰る、友だちは作らない。引越し先の海辺の街で今度こそは失敗していじめられることのないようにと自らに誓う。そんな女の子がめざしだった。 だけど、彼女はアングラー女子会なるものに誘い込まれ、海釣りを始めることになってしまった。めざしの頭の中を巡るのは、今度こそ…
© 2023 「放課後アングラーライフ」製作委員会「百日紅〜Miss HOKUSAI〜」─見えざる世界こそ、人の世なり─ 感想と考察
江戸に生きる葛飾北斎とその娘・お栄たち絵師の姿を通じて描かれた物語には、「見えざるものを見る、感じ取る」という迷信のような価値観が映し出されていた。 江戸に潜む、見えざる世界 その「見えざるものを見る」というのは、浮世絵師として必要な素養であることもちろん、目の見えないお猶が触れて嗅いで聞いくことで…
©2014-2015 杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」─暗く黒い過去に見出す白光─ 感想と考察
この世で最も黒い絵に始まったこの物語が暴いたのは、巻き込まれた人物たちの黒く暗い過去。そして、仁左衛門と奈々瀬の暗く悲しい悲劇だった。 だがしかし、そんな救いのないような話であっただろうか?その余韻には確かな光があったように思う。 たとえば、亡き父を姿をルーブルに見つけ、そこに自らを重ねた編集の泉が…
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社「PSYCHO-PASS PROVIDENCE」─神を殺した常守朱、その涙の意味─ 感想と考察
シビュラシステムによって、法律は不要になるだろうか?それが今回の問いであり、議題だった。 神の視座から愚かな人間たちに絶対的な裁定を下すAI、それがシビュラシステム。究極の客観性を携えたその支配システムは、私たちに汚れた人間の主観を一切排した答えをもたらしてくれる。その真実に疑いの余地はない。しかし…
©サイコパス製作委員会「PSYCHO-PASS 3期」─たった一つの正義ではない、善悪の価値の意味─ 感想と考察
第4話 コロッセオの政争 認知不可、脳が楽をしたい悩みたくないという休みたがることを指すその言葉。 その脳の、人の思考の働きを利用して、外部から大衆の心理をコントロールしようとするのが小宮カリナの裏に潜む正体・AIのマカリナだった。そのAIが人間を誘導することで、人間に思考を放棄させることを促し、選…
©サイコパス製作委員会「涼宮ハルヒの消失」─長門とキョンが示した愉快な日常セカイ─ 感想と考察
長門とキョンが教えてくれたのは、何の変哲もないこの日常こそが、一瞬一瞬を噛みしめなければいけない非日常なんだということだったように思う。 非日常な日常は日常だけど非日常 クリスマスを目前としたキョンの日常は、今日も非日常だった。ハルヒがクリスマスパーティーをSOS団部室で行う!と宣言して、団員たちは…
©2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団「グリッドマン ユニバース」─重なる世界が見せた真実とメタフィクション─ 感想と考察
この物語はすべての妄想への賛歌なんだと思う。 子どもっぽくて、夢想的で、ロマンチックで、非現実的なメタフィクション。 GRIDMANで人と繋がることを知り、DYNAZENONで自分を貫くことを知った僕たち人間は、今度は夢見ることを知る。 「グリッドマン物語」 それは霧のように消えてしまったあの2か月…