「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「ワンダーエッグ・プライオリティ」─大人になりゆく14歳という視界─ 感想と考察
本編12話まで見た時点ではどこか裏切られたような感覚に陥ったが、最終回となる特別編に待っていたのは再び裏切られつつも納得せざるを得ない全く予想外の教示的な回答だった。
※トンじゃってる個人的解釈をトンだまま書き連ねたままで、思考過程が飛びまくっていたので注釈を追加(2021/12/4)
子どもの目に映る世界からのパラダイムシフト
平行世界って要は別の見え方みたいなもので、アイは沢木先生のせいっていう疑念の虚像を作り出していたけれど、小糸ちゃんからすれば悪いのは自分を愛してくれない沢木先生と沢木先生の目を奪うアイだったわけだし、客観的な視点に立てば悪いのは小糸ちゃん自身だし。
12話のアイのかまちょの私はもう卒業、私は信じるんだっていうのはアイが気づいてたのかは分からないけど、良い人の小糸ちゃん悪い人の沢木先生って虚像を追うことをやめる宣言みたいなもののように思える。
何から見て見ぬ振りをしていたのか
我ながら好き勝手に解釈しすぎな自覚はありつつも、フリルの「友だちが欲しい、彼氏は裏切るから」というのも、友だちになって一緒に不思議な体験をしたアイたちが「特別な時を過ごしたグループは自然消滅しちゃった」ということと合わせれば、14歳の大人と子どもの狭間の中で、思春期という同質の妄想を信じる少女たちがもう見て見ぬ振りはしないんだと大人になる物語のようにも映る。
※「空想が欲しい、現実は裏切るから」みたいな。
そうするとまた思い出すのが、大人の愛は打算的で汚い、子どものは脆くて儚い、でもいずれ大人になってしまうという沢木先生の台詞にも頷ける。
※現実は打算的で汚い、空想は脆くて儚い
今まで主題だと思ってた大人と子どもの対立みたいなものも、それを裏切った展開を見せるという形で視聴者にも否定を突き付けて、劇中のアイと同じように現実を見せつけられたようだった。
※空想を否定して現実を突き付ける。
そして、救った少女が元のようには生き返らないということも、現実は思い通りにはいかないぜと言いたげな種明かしに感じた。
※視聴者が見ていたのは空想ではなく現実だった。
良く悪くも子どもの期待を裏切るようにそんなに薄汚いものではないけれど、確かに多少の残酷さを纏う大人の世界に飛び込めと言いたげな物語という印象を受けた。
※描いていたのは視聴者の望むような御伽話じゃなくて現実だったけど、その虚像を裏切って描かれた現実はアイにとっては大人への信頼が取り戻せるという救いがあるものであった。
死の誘惑
タナトスの部分も、結局小糸ちゃんが自殺したのはかまちょの部分に加えてアイへの嫉妬っていう勘違いなとこがあるし、そういう疑念が死への誘惑ってことなのだろうか。この部分はフロイトのデストルドーを理解すればわかると思うし、まさにその部分を描いていたように思える。
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