質アニメ
私を魅了する
の物語、もっと知りたい─-
「true tears」─泣けない私の、叶わない恋─ 感想と考察
この『true tears』というアニメは、なかなかに恋愛アニメな以上に質アニメ的であるうようにも感じた。それ故に1話ずつ見終えた後にキャラクターたちの関係性と展開を整理し、自分で改めて咀嚼してから初めて見えてくるものも少なくないし、もう一度見たいと思わせてくれるものだった。それに、そうやって彼女た…
©2008 true tears製作委員会「パプリカ」─夢のパレードが残すのは、己の人生─ 感想と考察
非常に難解奇異な物語で、最後の最後に何を言わんとしていたのかをようやく微かに理解することができたような…気がするといった作品だった。 私が出した結論としては、『パプリカ』というのは「夢の昇華のさせ方」を描いていたのだと思う。 粉川警部の夢解析 一番分かりやすい表象が、粉川警部と彼が見ていた夢だったと…
© 2006 Madhouse, Inc. and Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc.「パーフェクトブルー」─未麻の正体とは、失われたアイデンティティ─ 感想と考察
自分が何なのかというお話 結論から言うと、この『パーフェクトブルー』という作品は、アイドルから女優へと転身した未麻のアイデンティティを描いた物語だったように私は思う。 私はどんな私?どんな姿の私? 物語は前述のように、アイドル・みまりんが女優へとキャリアを乗り換えるところから始まる。しかし、それをフ…
©1997MADHOUSE「犬王」─魂の叫びは、友有の存在証明─ 感想と考察
今は昔、奪われて失われた者たちの物語 犬王と友有は無念のうちに終えた平家の物語を歌うことで、彼らの存在を再び世に示し成仏させていった。 そして、足利義満によって亡き者にされた友有と自らを封じざるを得なかった犬王。この歴史の上からその存在をかき消され、忘れ去られてしまった2人が確かに存在し一世を風靡し…
「平家物語 第2話」─現世への執着─ 感想と考察
娑婆の栄華は夢のゆめ 不確定な未来の中で確かなものは「盛者必衰」の運命だけということにまとまるような回。 だけど、それも見方次第。悟りを得れば違う答えが見える様な気もした。 そもそも、びわはこの世に明るい未来がないことを知っていたのだ。清盛を「ギラギラしたやつ」となじりながら、先の行く末の不確かさや…
「ワンダーエッグ・プライオリティ」とエディプスコンプレックスとフロイト哲学 考察
エディプス・コンプレックスについて まず、エディプス期に入る前の子どもは父親よりも母親に愛着、すなわちリビドー(対象への欲動)を向ける。次に、エディプス期に入ると同性の親を敵視し、異性の親により惹かれるようになる。男児の場合は、同性の親(父親)による無意識の去勢不安に脅かされて、異性の親(母親)との…
「リズと青い鳥」─二人の関係を支えるモノの正体─ 感想と考察
「みぞれのオーボエが好き」 二人の想いが通じ合った瞬間に頬を伝った熱い一滴より澄んだものを私は知らない。 累計4回目の鑑賞にしてようやくこの物語が何なのか分かったような気がした。 「ただあなたが隣にいてくれることがどれだけ私にとって大切なのかということ。」 「何もなかった私にあなたが何もかもをくれた…
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」─もはや我々は人間ではない─ 感想と考察
人間を人間足らしめるものとは、自分を自分足らしめるものとは。 本来肉体から切り離すことのできない囚われの魂を解放することができたらどうなるのか。 この『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』はゴーストが殻から解放されたところで終わり明確な答えは定まらないが、その個体や種を制限する殻に…
「ワンダーエッグ・プライオリティ」─大人になりゆく14歳という視界─ 感想と考察
本編12話まで見た時点ではどこか裏切られたような感覚に陥ったが、最終回となる特別編に待っていたのは再び裏切られつつも納得せざるを得ない全く予想外の教示的な回答だった。 ※トンじゃってる個人的解釈をトンだまま書き連ねたままで、思考過程が飛びまくっていたので注釈を追加(2021/12/4) 子どもの目に…
「ハーモニー」「虐殺器官」─伊藤計劃の物語─ 感想と考察
ハーモニー 生きることを絶対としたユートピア/ディストピアな世界観の中で善悪を生と死に表象した話だと思っていたら理性と野性の話だった。善か悪か、理性か感情かという二元的な突き詰め方で物語を終始描いていたように見えていたが、最後の場面では複合的な、あるいは感情に寄り添った結末のような印象があった。 生…