「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」

「ウマ娘 3期」─キタサンブラックはみんなの夢になる─ 10~12話 感想と考察
第10話「お祭り」
夢のくびき
トレセン学園地域合同イベントの実行委員長にお祭りウマ娘として任じられたキタサンブラックは、このお祭りの中に広がるみんなの元気な笑顔、そしてダイヤちゃんやドゥラメンテの凱旋門賞挑戦の言葉を受けて、自身も世界の舞台で勝って、みんなを笑顔にしたい!と意気込むようになっていた。
だけど、トレーナーはそんなキタちゃんを素直に応援できない。その理由ははっきりとは口にはしなかったけれど、風邪を押して練習に励むキタちゃんの姿を見ていると、彼女はどこか背負い過ぎなように見えなくもなかった。
そんな中で、キタサンブラックが挑むのは宝塚記念。いつもと違って、シュヴァルグランがハナを取りに行く展開に、キタちゃんは思うようにレースを展開できず、最後にサトノクラウンが突き抜けて勝利。結局、キタサンブラックは馬群の中に沈んで、一番人気を裏切るまさかの敗戦。
「どうして……」と自身への落胆に沈むキタちゃんは、自分の思いと体が上手く一致しないような、そんな混乱に打ちのめされているよう。それは、簡単には出口の見つからない挫折のように思えて、不安感が募るようだった。
第11話「決断」
募る焦燥感、迷う思い
前走の宝塚記念で足が動かなかったことと、凱旋門賞に向けて一足先にフランスへ旅立ったダイヤちゃんの不在のせいか、どこか心此処にあらずなキタちゃん。そして、そんな心に身体が連動するようにして、練習でもどこか自分の力が出し切れないような感覚に陥り、それはますますキタちゃんを焦りへと駆り立てていた。
そんなキタちゃんにゴルシが先輩として一言、「ピークを過ぎたんだよ、お前は」と語りかける。それは認めたくないけれど、現実の問題で、だからこそより深刻に、より深く刺さるようだった。
だけど、その現実から目を背けてもどうにもならない。だからトレーナーもサトノダイヤモンドを追いかけて凱旋門賞に出走することが全てではなく、悔いの残らないような選択をしろと諭していた。
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