Reviews
「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
この物語の
を、あなたと感じたい─-
「SSSS.GRIDMAN」─甘くて不安定なアカネの世界の意味─ 感想と考察
不安定・青春エッセンス 新条アカネの心という狭いセカイの中で、彼女自身の存在がいっぱいいっぱいに肥大化していた。彼女の怒りやストレス、ナイーブさや未熟さ、自己中心さやわがままさといった自己と世界が分離できてないセカイの捉え方を、愛おしさたっぷりに言えば青春と呼び、はっきり言えば幼さとか子どもっぽさと…
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会「ブルージャイアント」─存在が光るから、その音色に惹かれる─ 感想と考察
ジャズの音色とジャズにかける思い。そんな具体的な形を持たないものが、はっきりと目に見える程の爆発を描き出す。そんな物語がこのアニメだった。 信念と存在が宿るサックス 貫く自分の思いと信念、そして光る存在感と人を虜にする魅力。解き放たれる覇気や気力、生命力といった強さ。それこそが宮本大のサックスが奏で…
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会「さよならの朝に約束の花をかざろう」─愛に導かれるマキアの人生─ 感想と考察
「愛」とは 愛には二つの種類があると思う。一つは純粋な真っ直ぐな愛、もう一つは嫉妬のような拗れた愛。 これは、そんな愛を確かめるための物語。 愛を紡ぐ一族 時間という経糸と人の生業という緯糸からヒビオルを織るイオルフ。彼らは別れの一族と呼ばれる。長命の彼らが一族の村を飛び出してしまえば、そこにはたく…
©PROJECT MAQUIA「プリンセス・プリンシパルCH 3章」─王女様の優しき信念は砕け散る─ 感想と考察
プリンセスは決断を迫られる。ノルマンディー公に付くのか、アーカム公・リチャードに付くのか。王室内の苛烈なダイナミクスを前にしても、彼女は己の優しき正義と責任感のために道を選びきれなかった。 問われているのは、プリンセスが実際的にどう立ち振る舞うか以上に、優しいだけじゃない強さを貫けるかということのよ…
© Princess Principal Film Project「シン・仮面ライダー」─その強さ、何のため─ 感想と考察
その力が奪うもの、救うもの 本郷猛には大切な人を守れなかった過去がある。そして、彼は力を欲した末に人ならざる力を手に入れた。 改造人間となった彼がマスクを被れば、いとも簡単に人を殺めてしまう力がその手に宿る。その上、人を殺すことへの忌避感まで消え失せてしまう。しかし、それは本郷が求めた強さなのだろう…
©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会「かがみの孤城」─あなたが大人になった未来で待ってる─ 感想と考察
自分の心に閉じこもる 安西こころは不登校。そんな彼女の「行きたくないじゃなくて、行けない」を母親さえも理解してくれない。そんな全てに息が詰まるような感覚に自分の居場所なんかどこにもなくて孤独なように思えてしまう。そんな毎日だった。 しかしある日、突然光りだした部屋の鏡。そこに誘われると中には城が広が…
©2022「かがみの孤城」製作委員会「アークナイツ 1期 黎明前奏」─それでも私は理想を語る─ 感想と考察
この物語は「理想を語ることは簡単でも現実にすることは果てしなく難しい。だけどそれを知ってなお、まだ理想を語る者は臆病なんかじゃない。現実という暗闇を希望の光で照らしていく者には確かな勇気を持っている」と、そんなことを語っているのだと私は思う。 重く暗い世界で生きる少女たち 重く残酷な世界に立ち向かわ…
©Hypergryph Studio Montagne/Yostar/Yostar Pictures「まどかマギカ 叛逆の物語」─暁美ほむらの美しくて醜い感情─ 感想と考察
暁美ほむらの全てはまどかのため。自分が生きる意味も何もかもを捧げられる。 だから、全ての魔法少女を絶望の輪廻から救うために鹿目まどかがいなくなった世界は虚空で無為。その隙間を透き通るように綺麗で、おぞましい程に禍々しいが感情が満たしていく。もし世界の定義がその想いに反するのならば、宇宙の理ごと変えて…
©Magica Quartet / Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion「千年女優」と「レヴュスタ」2つの演じて魅せるメタフィクションの比較考察
先日見た「千年女優」のメタフィクションさについて逡巡すると、「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のワイルドスクリーンバロックの名を冠した独特の世界観や演出が思い当たった。異なる時空や次元を超えて曖昧に重なり合う世界観を持つ2つの作品同士もまた重なり合うのだ。 少女☆歌劇 レヴュースタァライト…
©「千年女優」製作委員会・©Project Revue Starlight「AKIRA」─万人に眠りし反逆の本能─ 感想と考察
欲望の果実 戦後30年を経て、ディストピアと化したネオ東京。そこは政治家と資本家の身の丈を超えた欲望によって社会は熟れきっていた。そして、もはや腐りかけの果実では、その内に溜め込んだ人々の抑圧された叫びの制御に亀裂が生まれていた。武力による治安統制や民を搾取する税制改革に具現化した現状の社会秩序を崩…