Reviews
「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
この物語の
を、あなたと感じたい─-
「リズと青い鳥」─二人の関係を支えるモノの正体─ 感想と考察
「みぞれのオーボエが好き」 二人の想いが通じ合った瞬間に頬を伝った熱い一滴より澄んだものを私は知らない。 累計4回目の鑑賞にしてようやくこの物語が何なのか分かったような気がした。 「ただあなたが隣にいてくれることがどれだけ私にとって大切なのかということ。」 「何もなかった私にあなたが何もかもをくれた…
「イヴの時間」─信じれば、無機質な身体に宿る愛も本物になる─ 感想と考察
人間とアンドロイド。 存在の境界を越えて思いの通じ合う場所で、切なさと冷たさの裏に愛情を見つける物語。 アンドロイドが高度に発達した社会。 それは人間の潜在的な恐怖と忌避が、倫理の下に人とアンドロイドを分断する世界。 アンドロイドが人間に置き換わったりしないか、そもそも人が作り出して使役するモノが人…
「マクロスΔ」─魅惑のコズミックSFミュージカル─ 感想と考察
クソじゃないアニメ Advent Calendar 2021の7日目は、音に聞く限りではシリーズ前作との比較もあってかイマイチと聞くことが多いマクロスΔです。曲とか圧倒的に良いのになぜ…。 マクロスの魅力といえば歌、その中でもマクロスΔにはワルキューレという歌の女神がいる。 正直言うと…
「フラ・フラダンス」─ひまわりの絆のエール─ 感想と考察
まず、笑えるとこがいっぱい。 ダメダメで残念なフラダンサー1年生たちの天然もドジもやらかしも日常のコミカルさがあって、思わず声が出てしまいそうな場面がいくつもあった。 それでも彼女たちは一人前のフラダンサーになるため奮起していて、そして様々な困難にぶつかる。がんばってがんばってもみんなに追いつけない…
「TARI TARI」─どこまでもまっすぐで貴い、青春の全部が詰まった物語─ 感想と考察
この「TARITARI」、クソじゃないアニメ Advent Calendarに似合わず普通に非の打ちどころのない名作アニメです。まぁ文字通りクソじゃないアニメには変わらないのでOKですが。 ということで、クソじゃないアニメ Advent Calendar 2021の4日目です。 *** まず「TAR…
「EUREKA/エウレカセブン ハイエボリューション」─少女は愛を知り、母に、そして神になる─ 感想と考察
これは家族を知らないたった一人だったエウレカが、同じエウレカであるアイリスと出会い、身を共にする中で親と子の愛に通じるものを知り、大切なものを得るまでの物語。 最初は愛情どころか愛想すら知らずアイリスの子どもの心を解することができなかったエウレカはもう見ていられないくらいだった。だけど、アイリスにと…
「変好き」─変態ラブコメミステリーという暴力的なおもしろさ─ 感想と考察
クソじゃないアニメ Advent Calendar 2021の2日目です。 さて、本日紹介するのは『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』です。 どんなアニメか一言で表すと、**「下ネタとミステリーで殴りかかってくるアニメ」**です。 きっと意味が分からないとお思いでしょう。でも安心してくださ…
「響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」─本気にならないと手に入らないものがある─ 感想と考察
彼女は、実力のある者の肩を持つようで自分自身は実力主義以上に感情的な論理に身を埋めようとする。彼女は、久美子の調和的な振る舞いを気に食わなそうに見ているくせに自分を犠牲にして先輩である夏紀を立てようとする。 頑張った末に何も残らないどころか、それを否定するような傷を負っていた。本音を隠して、本気でい…
「シン・ゴジラ」─日本という日常の崩壊と真価─ 感想と考察
本物の現実の崩壊 その圧倒的な異物によって、日常の風景が世界があっと言う間に崩れて去っていく光景には恐怖なのか、悲しみなのかその理由すらもわからない涙が湧き上がってくる。 保守的な文書主義と保身的な政治によってがんじがらめなその国は、余りに私たちの生きる日本という名の国家とそっくりであった。ヒロイッ…
「アイの歌声を聴かせて」─その純粋さを守りたい─ 感想と考察
子どもには自分に対して素直に純粋になれば、あなたは幸せになれると歌う。 大人には他人に対して真っ直ぐな視線を向けられれば、みんなの世界が幸せになると歌う。 純粋色に染めて 実証実験のため送られた先の学校で、シオンのAIとしての融通の効かなさは浮いた言動となって目に映る。だけど、同時にシオンのその純粋…