「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「リズと青い鳥」─二人の関係を支えるモノの正体─ 感想と考察
Publish date: Jan 3, 2022
「みぞれのオーボエが好き」
二人の想いが通じ合った瞬間に頬を伝った熱い一滴より澄んだものを私は知らない。
累計4回目の鑑賞にしてようやくこの物語が何なのか分かったような気がした。
「ただあなたが隣にいてくれることがどれだけ私にとって大切なのかということ。」
「何もなかった私にあなたが何もかもをくれたような感覚。」
色々な作品で友達以上恋人未満あるいは恋愛関係にある二人の絆を支えてきたこの感情を、肌で触れたような感触を以て理解できた。ものすごく単純だから故にこれ以上の根拠のないこの感情を、色んな作品において今までは「ルール」のように捉えていた。分からないこともないけれど、どこか付け焼き刃のようなものに見えていて、恋愛の「ルール」として自分を納得させていたこともあった。
だけど、「リズと青い鳥」の上で、何の論理もなくただ感情の赴くままにたゆたう二人の少女に寄り添ってみると、このすごく貴くてわからないものが、なんだろう、とにかくわかった。
そしてこれからも様々な作品で特別な二人の関係を目にすることがあるだろうけれど、その度に鎧塚みぞれと傘木希美という二人の少女を思い出せば、二人の関係にもっと深く寄り添えるような気がする。
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