「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「ガメラ3 邪神覚醒」─少女と怪物の禁忌のまぐわい─ 感想と考察
少女と怪物
ガメラを憎む少女とガメラの宿敵であるギャオスの変異体であるイリス。
南明日香村に眠るそのイリスを孵化させてしまった比良坂彩奈とイリスの間には特別な繋がりが芽生えていた。さらに、イリスは綾奈と融合しようと彼女を取り込もうとする。
綾奈はイリスから引き離されるが、彩奈の遺伝子をイリスが取り込み、2人の間の奇妙な絆がより強くなった。そして、綾奈のガメラへの復讐心の下にイリスは人類の味方ガメラと戦う。
神秘的で艶やかな少女と怪物の交り
彩奈が幼体のイリスと最初に出会った時の、母乳を母親に求めるようにイリスが彩奈の少女の膨らみかけな胸に顔を寄せる仕草。
少し成長したイリスが彩奈とじっと見つめ合い、そして触手を彩奈に伸ばして取り込むところでの不気味さと両立する官能的な雰囲気と「イリス….熱いよ….」という呟き。
異種間の中にある恐怖や不気味さと扇情的で妖艶な質感と、異種姦というおぞましくも劣情的な禁忌と紙一重なこの交わりの描かれ方に引き込まれてしまった。
あまりにもセカイ系
幾度となく日本を襲う怪獣を撃破してきたガメラの死を願うすなわち人世の破滅と等しい彩奈の内面と、彩奈とイリスの異種間の男女のそれのような関係(イリスは雌らしいので実際は百合であるが)は、まさしくセカイ系的な世界観であった。さらに前者は正義の怪獣を憎むというダークで悪辣な性質、後者は恋愛関係以上の神秘的でエロティックな関係値によってより厨二病的で深まって拗らせたセカイ系が演出されていた。
雑感
南明日香村に根付くイリスやギャオスやガメラに関わる伝承設定が中国の二十八宿や朱雀と玄武の四神から取ったのものであったり、作中でも印象の強かった「天地否、それ滅びなん」という五経を引用した台詞だったりと、全くの突飛なファンタジーではないのはもちろんとして、日本怪獣映画に典型な社会風刺的な作り物に一辺倒なわけではない部分が非常に好感だった。
あと、GONZOが制作協力していたのに結構驚いた。
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