「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「16bitセンセーション」 ─コノハの本当の夢─ 感想と考察 8~10話
第8話「エコー」
「午後の天使たち」を開封して、1985年にタイムリープしてきた守。そこは、エコー1とエコー2のいるエコーソフトというゲーム会社だった。
そして、そこでなんだかんだと美少女ゲーム制作のアルバイトをすることになった守だけど、ある日彼はエコー1から「想像力とは何か?」と問われる。もちろん、守にとってそれは説明するまでもなく当然のことだけれど、それがエコー1やエコー2には分からない。エコー1はその答えを求めて、美少女ゲームを作っているとも話していた。
そんなエコー1だけど、突如エコー2と共に「想像力が何か分かった」と言う。それは「人間の本質」であり、この時空を超えたタイムリープもその「想像力」によるものだとエコー1は語る。そして、「想像力が現実を定義する」というエコー1の言葉を聞くと、まさしく夢を追いかける守やコノハを突き動かすものもまた「想像力」なのかもしれないと思い起こされるようだった。
第9話「またね!」
アルコールソフトの新作「ラストワルツ」がマスターアップ!!
そんなゲームはメイ子にとっても、みんなで作ったみんなに見てもらいたいゲームだから、ちょっと抵抗のあった美少女ゲームに自分が誇りを持てるきっかけにもなれた。そして、それはコノハと思いを一つにできたということ。みんなで同じ夢を見れたということなんだと思う。
だから、象徴的なデジ子ビルの思わせる美少女コンテンツの時代の到来もますます確信めいたものになっていて、まさしくコノハに時代が追い付こう!という瞬間だったし、ようやくコノハの「美少女ゲームを作りたい!」という夢が叶った時でもあった。
さらに、それは守にとっても夢の瞬間。この秋葉原の街にこのまま変わらずにいて欲しいというのが彼の願い。98のコンピューターはもう目まぐるしく移り変わる時代の中に消え去ってしまったけれど、だけどアルコールソフトが今もまだ残っているのはコノハの提案したこのゲームのおかげ。そういう意味では、コノハは守も含めて、みんなに夢をくれる存在であるのだと思う。
彼女の夢がみんなに夢を分け与えて、みんなで一つの夢を叶えていく。そんな物語が広がっていた。
第10話「 精一杯やってみる!」
元の2023年の秋葉原に戻ってきたと思ったコノハだけど、そこは全然知らない秋葉原だった。オタクがいなければ、美少女もいない。
コノハはアルコールソフトでラストワルツを作ったことで、未来を、世界線を変えてしまっていた。それはコノハにとって、大好きな美少女ゲームの夢を叶えたことで、かえって現実から美少女ゲームを奪ってしまったということ。それは夢と現実のすり合わせ、いつも理想は思い通りにはいかないというリアルを突きつけられているようにも見えていた。
だけど、守はコノハに「そんな責任感を感じなくていい、この時代の人間が選び取った未来が今なんだよ」と言う。そんな言葉にコノハも、「今のアキバを楽しんでいる人もいるし、アルコールソフトのみんなの努力も否定したくない…」という思いを抱くようになる。
だからこそ、守は元のアキバと今のアキバを両立させるために、過去に戻ってそんな風に未来を改変させるためのゲーム作りをしようとコノハに提案する。それはまさしく二人の新たな夢であり、やっぱり常に夢を見続けることこそが未来を切り開くと言いたげなように映っていた。
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