「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「サイダーのように言葉が湧き上がる」─夏のノスタルジア─ 感想と考察
甘酸っぱくてもどかしい夏のノスタルジア
夏祭りで踊る音頭の音色に懐かしさに思わず泣き出してしまうキャラクターがいるが、この青春ロマンス物語とはこういうことなんだと思う。
思春期のうちの夏だったり恋というのは、この物語の中で大きな存在感を持つ俳句やレコードに象徴されるようにどこかノスタルジーに包まれたもので、今となっては得難いものだからこそ尊く思える。そして、この物語の舞台である地方都市にどでーんと建つようなショッピングモールはやがて、今青春を過ごしている彼らがその頃をいつの日にか思い出す時の象徴になるのだろう。
サイダーのように甘酸っぱいこの気持ちが言葉となり自然と心から溢れ出すように、いつの日か思い出の風景の中からあの時に感じていた気持ちが湧き上がる。
そして、この映画をショッピングモールに併設されている映画館で見ればきっと同じような思いがあなたにも湧き上がって浸してくれる。
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