「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「七夜の願い星ジラーチ」─人と自然、共に生きる隣人たち─ 感想と考察
Publish date: Feb 3, 2022
時を越える絆、同じ大地に生きる隣人
ジラーチは1000年に1度、眠り繭から目覚め、千年彗星の現れる7日間だけ行動することができる。そして、マサトとジラーチは出会った。
1000年という時間は人間にとっては途方もない程長い長い時間、だけど星にとっての1000年はきっとあっという間の刹那にすぎない。
そして、ジラーチにとっても眠り続ける1000年は一瞬のことのように感じているのかもしれない。
だから思わず、この特別な7日間も自分にとっては掛け替えのないものだけど、ジラーチにとっては気にかけるまでもない一瞬なのかもしれない…とマサトは考えてしまう。だけど、その傍らで同じ時の流れを共有した七日間はジラーチにとっても同じように大切なものと気づく。確かに生きている時間のスケールは途方もなく違うものだけど、二つの線の重なり合う七夜のうちに一緒に隣で見上げることのできる夜空は存在する。
そして、物語はクライマックスにかけて、人類の過ちによってグラードンが暴走してしまう。大地の怒りが具現化したようにグラードンはたくさんの生命をその巨体に飲み込んで吸収していくが、最後にはジラーチの手を借りてサトシたちはなんとかグラードンを鎮めることに成功する。
生きる時間のスケールの異なるジラーチとマサトの絆や、自然の摂理を歪めようとする人類とその怒りを表したかのようなグラードン。大自然と人間じゃスケールが違いすぎるけど、同じ星に生きる隣人として境目のない平等の存在であり、そうあり続けなければいけないんだということを確かめさせられるようだった。
そして、エンディングテーマの「小さきもの」をそのことを最後に改めてより強く感じさせてくれるようで感泣は抑えられなかった。
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