「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「機動警察パトレイバー2」─欺瞞と空回りの社会─ 感想と考察
Publish date: Aug 15, 2021
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素直に警察vs自衛隊という構図や都市で繰り広げられる戦争という展開にはロマンとでも言うべき魅惑的なものがあった。「もう一度この国は戦後からやり直すことになる」という内戦の様相漂う日本への米軍の介入が迫った場面での台詞も然り。
蜃気楼の如し街、仮想的な「戦争」
テロリストに巧妙に踊らされた結果として仮想的な「戦争という状況」との戦いのために対立構造の上に置かれた警察と自衛隊の姿や、現状を把握できていない警察上層と現場の剥離に具体化される本質的な部分を省いて回る社会とその中で個人は何の為に何ができるのか…という嘲笑を含んだ問いを黒幕である柘植は投げ掛けていたように思える。
戦争が何かの手段のためではなく、それ自体が目的というところが特にそう思わせる。
劇中の事象のモチーフとなるミグ25事件やPKO問題だったりといった戦争と関わる現実の情勢や冷戦後の空気感を実際のものとして体感していない自分には分かり得ないものがあったような気もする。
しかし、まさにそういう自分こそが、この社会の外を取り巻く戦争に目を背けた形で実現している危うく脆い平和の中に自分が生きていて、それを本物の平和と信じている人々の一人のようにも思える。
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