「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「魔法少女育成計画」─The 魔法少女 ダークファンタジー─ 感想と考察
「まほいく」については2016年に放送されたTVアニメで初めて知りました。魔法少女ダークファンタジー好きとして結構おもしろかったのか、TVアニメ放送終了後にアニメ化後を描いた原作ライトノベルを3冊買ってたり。そして、どこまで読んだかも不確かなまま約5年が経過。そんでもって最近、BOOK☆WALKERのセールで全既刊揃えてからまた少しずつ読み始めたりしてます。
とりあえず、初巻「魔法少女育成計画」を読み終えたので感想です。キャラクター名を出さずに全体的なストーリーを語る感じのネタバレ度合いです。
まず、読みやすい。
語りの視点がだいたい10~20ページ毎に変わって、それぞれで少しずつ物語が展開されていくという形式は、単純にストーリー展開を脳内整理するまでもなく掴みやすい。16人と1匹もキャラクターが登場するわけだが、キャラクター毎の視点で描かれることで誰だっけ?みたいなことにはキャラクター数の割にはあんまりならなかった。最もキャラクターそれぞれの個性が強すぎることもそれを助けてそうだけれど。
The 魔法少女 ダークファンタジー
肝心のストーリーだが、まさしく魔法少女ダークファンタジーに求めているものそのものという感じで大満足だった。魔法少女たちが急に死ぬわ、死亡フラグをひっくり返すわという展開が繰り返されるのは読んでいて気持ちがいい(最悪)。
それに加えて、魔法少女のイメージに似つかわしくない残酷非道なキャラクターが大暴れする一方で、魔法少女らしすぎる心を持つキャラクターが悪辣さの中で浮き彫りになる醜い本心や、正義の無力さを痛感し膝をついてしまいそうになる葛藤には、ダークファンタジーでしか味わえない特有の感情を引き立てさせられた。
一番好きだったのはエピローグで、バトルワイヤル生き残った魔法少女の成長を感じさせる姿や後日談として様々な想像が膨らみそうな結末がとても好みだった。
Tags: