「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「マクロスΔ激情のワルキューレ」─本編を越えた"激情版"総集編─ 感想と考察
魂込めて歌う激情
歌を歌いたい、歌うことが生きる意味。
存在証明的なこの激情を絶唱して、立ちはだかる壁にぶつけていくワルキューレの姿が単純だけど熱くて胸に響いた。
そして、メッサーが命がけでワルキューレを守る姿やワルキューレたちが歌で届けてくれる魂や覚悟は、言葉にならないそのままの想いが伝わってきて…もういっぱいいっぱいになって、自分も言葉にできない想いが涙になって溢れるのを止められなかった。高揚感と共に歌に込められた激情に想いを巡らせれば、命がけの覚悟とか戦友との永遠の絆とかを感じられずにいられなくて体が熱くなるようだった。
マクロスΔはとにかくワルキューレの楽曲が最高なことは言わずもがなだが、それに加えて3Dライブシーンも凄まじかった。クオリティだけで言えば、特にキャラクターのモデルは最新作である絶対LIVEの方が必然的に勝っているのだけど、激情のワルキューレではMV的な映像に仕上がっていて、言うなればPerfumeみたいだなぁと思わせるようなスタイリッシュさやオシャレさを焼き付けられた。(というか、アニメみたいなことやってるPerfumeがすごすぎる。)
本編を越えた激情版総集編
マクロスΔ本編の劇場版総集編である激情のワルキューレだけど、新規カットが余りにも多くて、それに何よりもストーリーの再構成が圧巻だった。26話もある本編を大胆な時系列の再編成や省略、設定改変が行われつつも決して満足感を損なわず、それどころか冗長性を切り取って魅力をより濃密に圧縮したような満足感があった。
そして総集編の一番の問題点であろう既視聴故の退屈さに関しても、根本のストーリーラインは変わらないけれど、前述の新規カットと時系列の再構成は初見時のように次に何が起きるのかドキドキさせられた。特にメッサーに関してのほんの少しの展開改変は、既視聴だからこそズルいくらいに効いた。
本当に比喩抜きに半分以上新作のような感覚で楽しむことができた。劇場版総集編をあまり多く見たことがあるわけではないけれど、それでもこれは総集編として屈指の出来だと言わずにはいられなかった。本編も越える総集編がまさか存在するとは…という驚きすらあった。
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