「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「劇場版マクロスΔ絶対LIVE」─絶対諦めない、絶対の歌い様─ 感想と考察
どんな困難が立ちはだかっても、自分の生き方を諦めたくない。全力で生きて、全力で誰かを守る歌を、誰かを愛する歌を刻み付けたい。
林檎の花のように彼女に残された時間は短いけれど、その中で悔いのないように最高に幸せだったって言えるようにめいいっぱい咲き誇りたいってフレイアの叫びが胸に響いた。
林檎の花は一度燃え尽きて、フレイアの身体も凍てついて冷たくなってしまった。だけど、春が来ればフレイアの守った種は芽生え、蕾は再び花を咲かせる。彼女が繋いだもの、刻んだものが確かに実をつけたエピローグはもうどう言っていいのか分からないくらいの想いが込み上げてしまう。
そうやって実を結んだフレイアの存在の証は、ワルキューレの歌やみんなの思い出の中で永遠に生き続けていくはず。それに、生き様を貫いて諦めなければ、きっと誰かに自分の存在を刻み付けられる。
そう鼓舞されてしまえば、フレイアみたいに一瞬を永遠に感じるほど全力で生きてみたいって熱い気持ちが胸の中に芽生えるような感覚があった。
そして、生と死、あるいは愛の象徴である林檎に重ねて描写されるフレイアの生き様の儚くも懸命な姿に感泣を抑えられない完結編だった。