「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「マクロスΔ」─魅惑のコズミックSFミュージカル─ 感想と考察
クソじゃないアニメ Advent Calendar 2021の7日目は、音に聞く限りではシリーズ前作との比較もあってかイマイチと聞くことが多いマクロスΔです。曲とか圧倒的に良いのになぜ…。
マクロスの魅力といえば歌、その中でもマクロスΔにはワルキューレという歌の女神がいる。
正直言うと、この後にストーリーラインや世界観の魅力をいくら語っても無意味なくらいに歌が良い。そして、その歌に乗せた空戦が繰り広げられればもう高揚感が最高潮になることは必然だし、情緒的で感傷的な曲もキャラクターの感情に没入させる魔力すらある。
もうこの作品をSFロボットアニメという視点を抜きに、単にミュージカルアニメとしての側面だけを見ても計り知れない程の充足感を得られる。話の展開が多少微妙でも、ワルキューレの挿入歌で毎話80点90点に一瞬で上書きされるくらいにとにかく歌が良い、ホントに。
そして、とにかくもどかしい三角関係。
・2人のヒロインからの好意に鈍感なくせに、いっつも無自覚で思わせぶりなハヤテ
・自分の気持ちが恋って気づいてないくらい初心だけど、初心なりに真っ直ぐなフレイア
・いつも凛としているようでいて、ふとした時の恋する乙女の表情がいじらしいミラージュ
この鈍感で奥手な3人の恋模様は、微笑ましいというか残念ですらあるというか…、画面の前で早く好きって言え!!とか言いたくなるような愛おしい焦れったさに溢れてる。はぁもうミラージュ好き…。
戦場の上のキャラクターたちの想いや散っていく姿の描写も印象的だった一方で、星間戦争という広大なスケール感も魅力的だった。
星間文明という広大な舞台上で繰り広げられるウィンダミア人との人種間闘争や、帝国主義を感じさせる劇中史を持つ世界観にも引き込まれた。その縮図じみた星間戦争には厨二心をくすぐるロマンすらある。さらに一気に攻勢に出たり、撤退戦にまで追い込まれたりと二転三転する戦局にはスケール感や先の見えなさを感じて手に汗握るものだった。
ただ、いくら世界観や展開の魅力的を語っても、ワルキューレの歌の魅力が圧倒的すぎることに変わりはないし、その楽曲だけでも聴いて欲しいくらい。
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