「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「続・終物語」─阿良々木暦の青春への別れの物語─ 感想と考察
Publish date: Mar 29, 2020
阿良々木暦の青春への別れの物語
直江津高校を卒業して大学受験の結果発表待つ時間軸にいるこの物語の阿良々木暦にとってこの続・終物語はそもそも始まってすらおらず、そこにあったそこに生まれていた物語であろう
彼が高校3年生となる直前の春休みにはじまった怪異との出会いを経て激動を送り、また人間強度が下がるからと友人を作ってこなかった彼に多くの友人をもたらした高校3年生の1年間という青春の一端がこれから大学生を経て社会人として大人になりゆく彼にとってもう手に入らない懐古感やもの惜しさの具現として現れたものが今回の「鏡の世界」ではなかろうか
その意味でこの物語は、これはとっくの昔に始まった彼の青春譚のエピローグのような、このシリーズ風に言えば「後日談というか今回のオチ」のようなものなのかもしれない
さらにまた、阿良々木君が言っていたように「鏡の世界」というのは、これは結果であってそこに大きな意味はないのかもしれない
また戦場ヶ原に対して心残り、つまり鏡の戦場ヶ原がいなかったのも彼女とはこの時点では確定ではなかったものの同じ大学へ進学する未来があり、彼女について思い返すべき懐古感がなかったからであろう
そしてこの物語のラストシーン、阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎが2人で信号が青に変わった横断歩道へ両足ジャンプでひとっ飛びするのは、これは既に過去となった高校時代へ別れを告げ、目の前に待ち受ける大学生活やその後の未来へ一歩踏み出し、新たな始まりをまさしく予感させるものであった
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