「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「熱帯魚は雪に焦がれる 6巻」 感想と考察
Publish date: Apr 14, 2020
変わりゆく小雪、自分の殻を破ったように見えたその先輩の姿に嬉しさを感じるも、以前のような”孤独”同士で繋がれた互いに互いにとって特別だった関係が揺らぐようで素直にその姿を受け入れられず鬱々としている小夏
二人を繋いでいたはずの”孤独”、それが断ち切られて自分だけが変わらないままで置いて行かれることを恐れるが、一方で小雪にその”孤独”側へ引きずり戻すことは自分のわがままに過ぎないと葛藤に陥る
一方で、今までのように”孤独”の殻を破ったようにも見えた小雪は背伸びしすぎたようで本来の自分との間の差でもがいていた
そんなところで小夏は蟠りが積もった気持ちに抑えが聞かず思わず小雪先輩をこちら側へ引きずり戻してしまう
一瞬気まずい雰囲気が二人の間に漂ったが小雪にしてみれば背伸びしすぎて引き返しがつかなかったところを助けてくれた形となり実は嬉しかった
一旦は小雪先輩を自分の手に取り戻せたように思った小夏だったが、今度は新学期を迎えて小雪先輩もあと一年で卒業して去っていくという避けようのない現実があることを突き付けられる
互いにもう独りじゃなくなった、でもそれで寂しさが解消されるわけではない
小夏にとってはすべてである小雪の存在、二人を繋ぐ水族館部という確かな繋がりさえ断ち切られたら二人の間に何も残らないと小夏は寂しさ、不安が募る
小雪と特別な関係であることをなんとか守ったが、自分ではどうしようもできない手の届かない場所へいってしまう現実が立ちはだかる小夏がどう処理をつけるのか次巻に期待。
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