「物語の読解、演出の解体、世界観の抽象化」
「熱帯魚は雪に焦がれる 5巻」感想と考察
将来について考え始めて地元愛媛から出た進学先を検討する小雪
小雪の周囲の人々は彼女の進路への想いを後押ししてくれたが、それを引き留めてほしいという想いも彼女は抱えもやもやしていた
しかし、彼女を送り出す側の人々も実は彼女が去り行くことに寂しさを感じていたが彼女が進路に思いきれるようにと、打ち明けられなかった
それでも小雪は周囲の人々が自分が去ることに寂しさを抱いてくれていることを知り安心でき、またその寂しさにも楓の促しもありちゃんと向き合えることができてもやもやは解消され自らの将来に踏み出す思い切りがついた
しかし、ある部分ではそれを晴らせたように思えたが彼女にとっての肝心の存在、精神的な支えでもある小夏には彼女の寂しさすら届かず、届けられず、一方的に寂しさが募るばかりで彼女の心の曇りはまだ鬱々としたままで
相手を気遣うことでかえって気遣わせてしまう、寄せては返す想いの行き違いの蟠り
読んでいる側も彼女のようにどこかすっきりしない5巻でした